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afterwords  

 「24-s ― 二十四季・24のストーリー ―」、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

 随分とスローテンポな連載になってしまい、「完結後にまとめ読み派」の方には非常に申し訳ないことをしてしまいました。ハハハ。やっぱり並行連載は、片方が割り食いますね。
 (…にしても、スタートが昨年の4月ですから……うわ、10ヶ月か。ま、まずいなぁ)

 「二十四季」は、あくまで、透子と慎二の関係が変化していきながら、多恵子のこと、ひいては由紀江のことが分かっていき、最終的には透子と慎二の想いが通じ合う、という過程を描くためのお話だったので、いくつか意図的に避けたものがありました。
 その1つが、震災。これをあまり克明に追ってしまうと、震災をテーマにした小説と思われてしまうので、あえて「設定だけ」にしました。でも、本来なら避けて通れない話で。
 それから、透子の過去。両親や紘太との日常がどんな風だったのか、本編ではあまり書きませんでした。お涙頂戴ものになりそうな気がしたので。
 更には、慎二と透子が出会った当日、およびその後数日間のこと。実は、結構重要な中身だったんですが、透子の家族をほとんど出さない以上、描かない方がそっちに引きずられなくていいかも、と避けました。
 そして、慎二からの視点。透子にとって、慎二は常に謎で、掴み難い存在だったので、あえて描かずにおきました。だから、あの時、この時、慎二はどんなことを考えていたんだろう……と思わされる部分が何箇所かあったと思います。

 そうした、「二十四季」では描かなかったものを、描いておきたい。それが、この「24-s」を書こうと思った理由です。

 実際には、本編終了直後からの1年間を、二十四節季に沿ってなぞる形になり、上にあげたもの以外にも荘太や千秋の物語や佐倉の話(これ、書こうかどうしようかちょっと迷ったんだけど…ま、いいでしょう。主人公達は安泰だし)、透子の就職などなども盛り込むこととなり、最終的には一番の問題・由紀江のことを、ある程度未来を予感させるところまで持っていくことになりました。
 まー、なんていうか…盛りだくさんですね(笑) なんて濃い1年間なんだ。1年で疲れちゃいそうです。
 ただ、盛りだくさんながらも、描きたかったテーマはある訳で―――それは、このシリーズ全体を通しての共通テーマ・「生きる」ってこと。
 言いたいことは、全編のあちらこちら(「アルタイル」とか「風の音」とか)に散りばめられていて、最終話「月冴ゆ星冴ゆ」で纏まった感じです。なんか、一言では言い表せません。作品全体から、「生きる」って何だろう、ということを、なんとなーく感じ取っていただければ、それでいいかな、と思います。

 さて、今後の2人についてですが―――これより先を書くかどうか、まだ、分かりません。
 実を言えば、慎二と透子については、かなり先まで(リアルな暦の上でいくなら、今年よりも10年位先まで)見えていたりします。
 結構、面白いお話だと思います。ただ……未来になっちゃうのがなぁ(笑) うーん、どうしよう。時代考証ができない。
 それに、実は、途中からは「慎二と透子のお話」というよりは、更なるもう1人のお話、と言った方が正しい感じなものですから。(まだニューキャラがいるんかい)
 うーん、どうだろう。眠らせるには惜しい設定ではありますが……書くとしたら、ある日突然、番外編的にぽつん、と増えてる感じ、かな。
 荘太と千秋の将来を気にする向きもあるとは思いますが―――これも多分、ある日突然番外編、タイプですね。

 最後になりましたが。
 慎二と透子、ひたすらスローテンポな2人に合わせてのスローテンポな連載、根気強くお付き合いいただき、感謝しております。
 また2人と出会うことがあったら、その時は、またのんびり、まったりと、応援してあげて下さい。

2006.2.24 結城とも


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