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afterwords

 「Heavenly Child」、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

 あとがき書くほどのボリュームもないこのお話ですが、ちょっとだけ…。

 このお話は、「二十四季」のアナザー・ストーリーというか何というか、つまりは、工藤慎二の過去話です。
 描いている時代は、80年代半ば〜後半。好景気で、トレンディ・ドラマが流行していて、若者の遊び場としては多分渋谷より原宿の方がメジャーでした。20歳までの読者さんには全然記憶にない(ていうか生まれてない)時代だと思いますが、その辺、時代のムードが伝わるかどうかが不安です。といっても、当時のことを結城がどれだけ鮮明に記憶しているかは、甚だ疑問でもあるのですが…。
 この時期の慎二君には、結城も少々思い入れがありまして―――“幽霊ごっこ”してる慎二君が、どんな人と出会い、どんなことを体験し、そこからどんなことを感じ取ってきたのか、それを描いてみたいなぁ、という思いから書いたものです。
 とか言いながら、その原動力となったのは、慎二本人以上に、彼の初恋の相手・メイの存在なんですが―――以前の多恵子同様、メイは、生まれた瞬間から結城の内側から「出してーっ、早く書いてーっ」と騒いで仕方のない子でした(笑) この子を早いとこ出してしまわないと、次の連載に絶対集中できないぞ、という感じで…つまり、メイがいなければ「Heavenly Child」は書かないままに終わったかもしれない話なのです。

 そんな訳で、この話、慎二のお話というよりは、アリサ、タカ、先生、メイという4人の主人公のオムニバス短編集といった色合いが濃いです。そういう意味では、ちょっと結城のシリーズものとしては異色かもしれません。
 真の主役・慎二について書きたかったことは、scene5に全部纏めて書いちゃいました。
 透子や多恵子が、何故慎二にとってスペシャルな存在なのか―――それは、多分、ここ読んでいただければなんとなく分かるかな、と。でも、対透子に関するもうちょい詳しい慎二の心情は、今後執筆予定の「24s ― 二十四季24のストーリー ―」で出てくると思います。不定期連載予定ですので、それまでおあずけですね。

 ところで、「Heavenly Child」の途中で、とある読者様から「二十四季で、透子が“慎二と蕾夏が似ている”と言っていたが、Heavenly Childでそれを強く感じた」という感想をいただきました。
 実は、結城の中では、慎二と蕾夏というのは、同じライン上にあるキャラだったりします。
 生まれた要素が同じ、というか、結城の中の同じ引き出しからこの2人が出てきてるというか―――自然のエネルギーを感じ、人から愛される以上に自分が誰かに愛を与える存在になりたいと願っている、という基本要素が同じなんですね。
 「でも、蕾夏には感じる強さを、慎二には感じないですね」―――ええ、その通り(笑) そこが、同じ場所から生まれた2人を大きく分けてる部分です。慎二君は弱いです。何かに立ち向かうという力が足りません。透子が立ち向かい型なので、2人合わせてちょうど良いのかも。瑞樹と蕾夏は? …う、うーん…どっちも立ち向かい型かなぁ。困ったぞ。

 ええと、「二十四季」に関しては、上でもちょっと触れましたが、あと1つ、連載が予定されています。
 「二十四季」のその後のお話。むしろ、恋愛関係の慎二と透子のお話としては、透子が大人になった分、こっちがメインですね。
 荘太や千秋、佐倉なんかのその後も散りばめたオムニバスになると思います。透子は神戸と向き合うことで大きな痛手を被ったり、慎二は苦手な勝負事に足を突っ込んできつい思いをしたりと、主役2人も、恋愛以外でも結構バタバタしております。
 なにせ、まだ恋愛の入口にやっと立った状態の2人。今後、幾多の紆余曲折が待ち構えていると思いますが、最後まで見守っていただければ幸いです。

2005.1.14 結城とも


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