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―――出会えてなかったら、どうなってたと思う?
なんてことを、話した。神戸港を見下ろす高台にある、大切な人が眠る場所からの、帰り道。
そして、2人とも、同じことを言った。
“多分、普通に生きてたんだろう―――それまでと同じように”、と。
みんな、ちょっとずつ欠けている部分があって当たり前。
その欠けたパーツが大きすぎると、ちょっとだけ、生きていくのが難しくなるだけ。
欠けた部分に目を瞑って、一人前の顔をして生きていくこと位、2人には簡単なことだった。そうできるだけの知恵も、賢明さも、理性もあったから。
家族、友人、恩人……優しい人も、たくさんいた。そして彼らを愛し、大切にも思ってきた。たとえ心の奥底に、決して曝け出せないものを抱えていても―――2人は彼らのよき友人、よき子供だった。
だからきっと、出会えてなくても、日常はさほど変わらない。
一人前の大人として、責務を果たし、適度に周囲と親交し、思いのほか穏やかな人生を送っていっただろう。
ただ―――欠けたままのパーツを、埋める気には、なれなかったかもしれない。
きっとその分だけ、今よりも少しだけ苦しくて、今よりも少しだけ寂しくて、今よりも少しだけ面倒な人生を歩んだだろう。
出会ったことで、欠けてしまったパーツが、埋まった訳じゃない。
欠けてしまったパーツを埋めるために、一歩、踏み出す勇気を、持てただけ。
失ったものを取り戻したのは、自分自身の力。相手は、勝ち取るためのエネルギーをくれただけ。
失敗しても、ボロボロになっても、必ず受け止め抱きしめてくれる人がいる―――そう信じることができた。…ただ、それだけだ。
今もまだ、失われたパーツは、完全には戻らない。
きっと一生、この小さな空洞を抱えたまま、生きていくのだろう。そんなものだ。
それでも、2人は、1人ずつでも生きていける。支えられなくては立てないほど、弱々しい生き物ではないから。
だけど、2人でいたいから。
お互いさえいれば、それだけで、もっと人に優しくなれるし、もっと現実に立ち向かう力が持てるし、もっと高みにある夢を目指すことができるから。
だから、これからは―――2人で紡ぐ、
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